2026年4月26日リリースのアルバム『Where the Roots Converge』について、制作や構想時のメモを振り返ってまとめました。当時の走り書きをもとにまとめたので、完成した作品のニュアンスと変わっている部分もあるかもしれません。作品鑑賞の参考や、より楽しんでいただく材料になったらうれしいです。
コンセプトメモ
前提
2026年4月開催のM3(音系即売会)でリリースする。
初めて一から作るアルバムなので、コンセプトを考えて作りはじめること。
こういうものをつくる
- 「仮想サウンドトラック」をイメージしてつくる
- アルバムで一つの作品になるよう、 ストーリー(アーク)があるつくりにする
- 音楽とテキスト・ビジュアルをまとめた冊子を合わせてつくる
- 歌ものを1曲か2曲入れる
制作の経過
いくつか思いついたフレーズを元に短いスケッチを作り、そこに肉付けする形で作りはじめた。キーとなるフレーズを複数の曲にちりばめ、鳴る音色や使用する楽器もアルバム内で統一感を持たせるようにした。
楽曲を作りながら、 アルバムのテーマとして「根」をモチーフにすることに決めた。そこから木や森、夜、地中の暗さ、水といったイメージを広げ、木管楽器の音や揺らぎのあるシンセを中心に使うことにした。

ストーリー
※制作当初のメモ、これを元に楽曲や冊子を制作しました
アルバム全体のストーリー・イメージ
- 人を樹木にたとえる。枝ぶりや花の美しさ、その違い。見えているものに目が奪われがちだが、地の下にある根は共通している。
- 内側にある蠢く「何か」、自らを大きくしたい欲求。それは枝葉ではなく、根を伸ばす欲求。
- 他者の「根」に触れた時の温かさ、そこにある光。命が輝くとき。
- 蠢く「何か」に気付き、伸ばす勇気を出すストーリー。それを導くものの存在。
場面、曲ごとのイメージ
- 「What Stirs in the Dark」: 物語が始まる前の風景と予兆。暗い夜の森、何かの気配。
- 「The Story Begins」: 物語の幕開け。
- 「The Way Things Are」: 昼、日常、外側。華やかに見える世界に合わせて生きる日々と、内側に蠢く「何か」との対比。
- 「Still Unnamed」: 夜、夢の中、内側。内省と自問自答。内側に「何かがある」ことへの自覚。
- 「This Is Where (feat. Synthesizer V AI Ayame)」: 「導く存在」の歌。客観的な視点でのストーリーの示唆。場面の転換点。
- 「Known」: 気づき、目が覚める。内側にあるものを自覚し、根を伸ばし始める。「4. Still Unnamed」のアンサートラック。
- 「Stretching Into the Dark」: 勇気と解放。根が深く遠くへ伸びていくイメージ。勢いと、若干の怒り。
- 「Where the Light Is Quiet」: 安寧と光。触れることで知る温かさ、出会い。
- 「The Story Goes On」: 一旦の終結。振り返りと、これからも進み、伸びていく勇気。

制作後の余談
- 当初は11曲を制作する予定でいたが、同じような曲が増えるのとストーリーが冗長になるように思えたので、9曲構成に変更した。(端的に言うと、締め切りが迫っていた)
- 「5. This Is Where (feat. Synthesizer V AI Ayame)」は、以前大学の課題として制作した楽曲がベース。課題提出時は曲の長さが短く、歌詞は全く違う内容かつ英語のもの、アレンジもシンプルだった。その後の手入れがかなり難航し、最後の最後にリズムビートを加えることでようやく完成した。
- 「6. Known」に入っている金属的なパーカッションの音は、自宅にある磁器を叩いて録音し、作ったオリジナルのドラムラックで鳴らしたもの。同じ音源を加工して他の曲にも使用した。
本日のWip。先日作ったドラムラックの音を入れてみました。#narekalog https://t.co/jbLeWTSk4B pic.twitter.com/OHmIMsaF6C
— nareka (@narekaSound) March 14, 2026
- 「8. Where the Light Is Quiet」は即興での一発録り。アルバム制作の最終段階で、自宅で演奏したものを収録。
- 一番苦労したのは「7. Stretching Into the Dark」。制作の初期段階で大まかな構成はできていたが、細かい箇所のアレンジや音作りに最も時間がかかった。そのぶん、一番思い入れのある曲になった。
- アルバムリリースの事前予告動画(XFDよりも前の短いもの)で使用する曲は、「9. The Story Goes On」の予定だったが、制作が間に合わず、曲の長さが一番短い 「2. The Story Begins」を最低限仕上げて使うことに。
- 7曲近くがほぼ完成した段階でアルバムを通しで聴いたときに、どの楽曲も最初のコードがほぼ同じで、ぱっと聴いた印象が似過ぎていることに気付き、キーを変えたり、コード進行を変えるなどした。
